究極の自然食品 ナットウの栄養


大豆のもつ栄養成分は実に豊富で、蛋白質のアミノ酸の組み合わせが動物性蛋白質とよく似ているので、「大豆は畑の肉」と良く言われますが、孫文が「三民主義」の中で「大豆は畑の肉、されど肉の害はなし」と書いたのが最初ではないか、という説があるそうです。 (WhoLe NATwork Journal

しかし、生の大豆には赤血球凝集素やタンパク質分解酵素阻害物質などの毒性酵素があり、有害で食べられないそうです。加熱すればこれらの毒性は消えますが、タンパク質の消化吸収率は、煮豆でも68%と低く、消化不良を起こしがちです。世界でも人間の食用には、大豆があまり使われてこなかった理由が、ここにあるのかも知れません。ちなみにアメリカでは、大豆は the music fruit だ、と歌われたようですが、意味はご推察下さい。(The Tokyo Weekender)

大豆を納豆にすると、納豆菌の醗酵作用により蛋白質が分解され、吸収率は85%と高くなるそうです。蛋白質の吸収率だけでは豆腐とあまり変わりがありませんが、納豆菌の栄養合成作用により、納豆は大豆よりより栄養価の高い食べ物に生まれ変わるそうです。例えば、ビタミンB2は2〜5倍に、ビタミンB12とビタミンEは大幅に増加するそうです。なお、ビタミンB、とりわけビタミンB12は菜食の人には不足がちなビタミンだそうですので、ベジタリアンの人には、納豆は特にお勧めです。


東京の(株)登喜和食品社長・遊作誠氏(納豆づくり50年)によると納豆は次のような「本当にスゴイ健康食品」だそうです。(途中所々省略してあります。)

納豆の原料である大豆は、「畑の肉」と言われるように肉や魚と同等のたんぱく質が含まれ、必須アミノ酸であるリジンやアルギニンも豊富に含まれます。(但し納豆の場合、大豆蒸煮で約2倍に脹らむ為100g当りで大豆のほぼ1/2の栄養価)です。

大豆たんぱく質の多くは水溶性のために、通常の煮豆や豆腐の場合にはたんぱく質含有量はさらに低下するのですが、納豆になると製造中のたんぱく質やアミノ酸の流失が少なく、さらにたんぱく質の質的変化まで起っているのです。

これは納豆菌による発酵作用によって大豆たんぱく質の多くが、きわめて消化率の高い、低分子ペプチドやアミノ酸に変わっているからで、大豆よりもさらに栄養価の高い食品となっている事を示しています。

さらに、それ単体では機能しないたんぱく質は酵素の働きで分解されてはじめて血となり肉となるのですが、納豆にはたんぱく質をアミノ酸に分解する「プロテアーゼ」や、たんぱく質・脂質の代謝を促進する「ビタミンB2」も多く含まれています。この無駄の少なさも「畑の肉」と呼ばれる由縁だと思います。

不飽和脂肪酸を多く含む植物性脂質
飽食の現代日本人にとって脂肪の取り過ぎは気になりますが、大豆にも約18%の脂質が含まれています。しかし大豆に含まれる脂肪分は約85%がリノール酸・リノレン酸といった身体に良い不飽和脂肪酸。これらは必須脂肪酸とも呼ばれ、特にリノール酸が50〜60%も占めているのが特徴です。さらに特筆すべきは「レシチン」の存在で、欧米人に比べて日本女性の肌がなめらかで美しいのも、レシチンを多く含む食物を摂取している「食生活」からきていると言われています。

レシチンは決して混ざり合わない水と油を見事になじませる機能性成分で、親油性と親水性という相反する性質から、水の中に油の分子を分散させる働きをしてくれます(乳化作用)。大豆レシチン、卵黄レシチンとして有名で、マヨネーズがしっとりとなめらかなクリーム状なのもこの作用ですし、食品だけでなく刺激の少ない自然派化粧品などにも「天然乳化剤・レシチン」として(良心的なものには)配合されています。レシチンによって皮膚細胞や皮膚表面の水分と油分のバランスが良い事が、日本人の肌の美しさを生んでいるようです。

余分な脂肪を分解・排泄
そしてレシチンは血液中や細胞・細胞壁に付着した過剰なコレステロールなどの脂肪分を強力に乳化し、排泄する働きをしてくれます。先のリノール酸やリノレン酸も同様の働きを持って血管の老化を防ぎ、毛細血管を強めてくれますから、納豆は高血圧や動脈硬化、肥満の予防にも効果的と言われています。

唯一の問題はこれらの不飽和脂肪酸が酸化しやすく、酸化によって過酸化脂質という毒性の強い有害物質になりやすい事ですが、納豆には強い酸化防止作用をもったビタミンEやサポニンも豊富に含まれていますから、納豆を食べているかぎり過酸化脂質の影響は心配ありません。

豊富なビタミンB、E
よく機械の潤滑油にたとえられるビタミン。納豆にはビタミンB・E・Kが豊富に含まれています。なかでも豊富なのがビタミンB群で、不足すると脚気になるB1、成長促進効果があり脂肪やたんぱく質の代謝を促進するB2、不足すると悪性貧血に見舞われてしまうB12、ボケ防止に有効な神経伝達物質アセチルコリンの原料コリンのほか、ナイアシン、パテント酸、イノシトールなどがあります。B2はまた糖尿病や合併症の予防にも効果的といわれ、血糖値を緩やかにあげる食物繊維とともに納豆の効用とされています。

また、先に抗酸化作用であげたビタミンEは末梢血管の血行を良くし、細胞の新陳代謝を活性化してくれるため美容と健康のビタミンと言えそうです。さらにカルシウムとたんぱく質の結合を促進するビタミンKも含まれていて、納豆は骨粗鬆症克服にも効果的です。

残念ながら納豆にはビタミンAとビタミンCは含まれてなく、野菜などから補う必要があります。これが納豆の弱点と言えるでしょうか。薬味として刻みネギを入れるのも、緑色部分のビタミンA・Cを補うという先人の知恵かもしれません。私のお薦めはビタミンCとビタミンAの王者「ブロッコリー(ゆで)」と「納豆」の完璧栄養バランスの組み合わせです。

納豆菌がつくる様々な酵素
納豆を食べる上で他の食品では考えられないほどの特徴は「生きた納豆菌」をそのまま食べるという事で、納豆1gの中に10億個以上も含まれています。30分で倍々と増える驚異的な繁殖力を持つ納豆菌はまた、自らの栄養摂取の為に様々な消化酵素を大豆組織に送り込んで分解・消化しています。ですから、一度分解され消化しやすくなった大豆成分と様々な消化酵素、強力な消化・分解能を持った納豆菌を一緒に食べる事になるのです。

納豆菌がつくりだす酵素には、たんぱく質をアミノ酸に分解する「プロテアーゼ」、デンプン質をブドウ糖に変える「アミラーゼ」、中性脂肪をグリセリンと脂肪酸に分解する「リパーゼ」、繊維質を糖質に分解する「セルラーゼ」、その他に「ウレアーゼ」「パーオキシダーゼ」「カタラーゼ」「ペクチナーゼ」等々です。 さらに最近発見された『ナットウキナーゼ』は、心筋梗塞や脳硬塞の起因となる血栓を溶かす酵素として非常に注目されています。これは従来、心筋梗塞の発作時に投与されていた血栓溶解剤「ウロキナーゼ」が30分程度の効果しかなく、一回の投与で20〜30万円もかかっていたのに対し、ナットウキナーゼなら納豆100gに含まれるものだけでよく、更に8時間も効果が持続するということが分かったのです。血栓を防ぐためには1日100〜200gの納豆食で良いとされています。先にあげた「プロテアーゼ」がたんぱく質を分解する時に生成する物質が、血圧を上げる「アンジオテンシン変換酵素」の働きを強く抑える事などもあわせて、納豆食が血管・心臓・血流の健康に非常に良い効果を発揮します。

身体に安心なミネラルバランス
納豆には牛乳に匹敵するほどのカルシウムが含まれています。さらに、本来吸収されにくいカルシウムは良質なたんぱく質と一緒にとる事で吸収率がよくなりますが、納豆には良質なたんぱく質とビタミンKが豊富に含まれていますからカルシウム摂取にも効果的です。納豆に含まれるリンもカルシウムと同様に骨や歯などの組織をつくり、血液中の酸やアルカリの中和、糖質の代謝促進などの働きをします。血液や組織中の酸素の運搬をになう鉄も、納豆には比較的多く含まれています。ナトリウムは水分を血管内に吸収して血圧をあげる働きがあるため、塩分の過剰摂取は注意が必要なのですが、納豆のナトリウム量は安心の低さです。その上、納豆や大豆に豊富に含まれるカリウムが、余分な水分や身体にたまったナトリウムを身体の外に排泄するなど、血圧や細胞の浸透圧を正常に保ってくれますから、塩分摂取を控えている方にも安心です。

ビフィズス菌の栄養でもある糖質・食物繊維
私達のお腹の中には様々な細菌がいて、そんな腸内細菌たちがお腹の中でビタミンを合成したり、細菌が持っている酵素で食べ物を分解してくれています。納豆菌のように。なかでも善玉菌といわれるビフィズス菌は大切で、大腸菌や腐敗菌、病原菌などの悪玉菌が増えないように守ってくれています。これらの善玉菌はオリゴ糖や食物繊維が大好物で、納豆にはそんなオリゴ糖や食物繊維が豊富に含まれています。その上、納豆菌の働きで大豆に含まれる食物繊維のセルロース、ヘミセルロースなどがオリゴ糖まで分解されるのです。このため納豆を食べれば善玉菌を大量に繁殖させ、腸内細菌のバランスを保つことができます。

さらに脂肪と糖がくっついた「配糖体」と呼ばれる食物繊維サポニンは、血中コレステロール値を低下させ動脈硬化を防ぐだけではなく、発がんを抑える働きがある事まで分かっています。
納豆って本当にスゴイ健康食品です。

世界最年少(10歳5ヶ月)で南アラパマ大を卒業した、日本人を母に米国人を父に持つの天才少年マイケル・カー二一さんは、赤ちゃんの頃から毎日納豆を食べて育ったそうですが、以下に引用した産経新聞朝刊 平成9年1月30日によると、納豆はほとんど完全に近い食品のようです。

  納豆は植物性タンパク質、カルシウム、鉄、食物繊維、ビタミンBが豊富で、塩分がないなど栄養的にすぐれた特徴を持っています。日本人の食生活も最近は肉類が多くなり、摂取したタンパク質のうち動物性タンパクが占める割合は、五三%と年々高くなっています。動物性タンパク質が多くなると、同時に摂取される動物性脂肪やコレステロールが問題になります。動物性タンパク質は四○から五○%が理想とされてますから、やや取り過ぎの傾向といえます。そのため、植物性タンパク質として、豆類を一日に一〇〇グラム取った方がよいといわれています。しかし、国民栄養調査(平成六年)では六六.八グラムしか摂取されていませんでした。「畑の肉」と言われる大豆をもっと取りたいものです。

  ただし大豆は蒸煮など加熱加工しなけれぱ、消化吸収が大変悪いという欠点を持ちます。納豆は、納豆菌の生産する酵素で大豆の成分がある程度分解されており、タンパク質の消化吸収率は煮豆が六八%に対し、納豆は八五%とかなり高くなっています。納豆は大豆のもっとも効率的な利用方法の一つなのです。

  食物繊維は、便の量を増し、かつ軟らかくし、体内にできた老廃物や発がん物質などの排せつを促します。ところが、現在日本人が取っている食物繊維は平均一七グラム。目標摂取量二○ー二五グラムに、三ー八グラム不足しています。この原因は、食物繊維が豊富な豆類や穀物類の摂取が減ってきているためです。やはりここでも積極的な豆類の摂取が望まれます。納豆には、一〇〇グラム中に六・七グラムも食物繊維が含まれています。現代人の食物繊維の不足分は、納豆ミニパック二つで解決できることになります。

  これだけ豊かになった日本人の食生活で、唯一不足している栄養素はカルシウムです。国民栄養調査では五四五ミリグラムと所要量六〇〇ミリグラムを下回っています。骨粗しょう症予防のためにも努めて取りたいものですが、カルシウムは体内への吸収率が低いという問題があります。しかし、この吸収率も、タンパク質やアミノ酸を多く含む食品を一緒に取ると上がることが知られています。納豆には一〇〇グラム当たり九○ミリグラムのカルシウムが含まれていますし、アミノ酸も多い食品です。そのため、納豆のカルシウムは利用されやすいものとなっています。納豆を食べておけぱ、カルシウムの補給も同時にできるわけです。

  実は、納豆の栄養にも欠点があります。ビタミンAとCが含まれていません。ビタミンAであれぱ卵や乳製品、緑黄色野菜などから、ビタミンCであれば果物、野菜など他食品から補う必要があります。また納豆がいくら健康によいからと言って、まとめ食いや食べ過ぎは決してよいことではありません。さまざまな食品を満遍なく取るよう心掛けたいものです。手軽で、しかも栄養豊富な納豆をミニパック一つでもいいですから毎日続けて食べることが、納豆の持つ機能性を期待できる上手な食べ方といえるでしょう。(フジテレビ商品研究所 相良和彦)

なお、ビタミンKが豊富に含まれている食品にはチーズ、バター、レバー、緑茶、 ブロッコリ、キャベツ、レタス、ほうれんそうなどがあり、特に緑茶とほうれんそうには多量のビタミンKが含まれているそうです。

ビタミンKの1日の所要量は日本では特に決められてはいませんが、アメリカでは大人場合100μgとされているそうです。大体の目安として、毎日納豆1パック、ほうれん草2分の1束ほどをとっていれば不足気味になることは、まずないそうです。

なお、脂溶性であることから、油脂で調理すると吸収がよくなるそうです。特に緑黄色野菜や牛レバー、納豆を良質の脂と組み合わせると、量、吸収率とも効果的にアップできるそうです。

欠乏症はあまりないので日本では特に所要量は決められていそうですが、乳児、新生児のビタミンK欠乏症は報告されてい て、特長は男子、西日本、母乳栄養児に多いということだそうです。母乳のビタミンKが少なかったり、西日本でビタミンKを多く含 む納豆をあまり食べないということも関係あるのではないか、といわれてるそうです。

以下、ナットウに含まれる主なビタミンや酵素類を表にしておきました。(未完)

ジピコリン 納豆菌が作る抗菌物質
ナットウキナーゼ 血栓を溶かす、脳卒中、心筋梗塞などの原因となる血栓を防止
ビタミンK 骨を丈夫に丈夫する、他の食品の数百倍のビタミンKにより骨粗鬆症を防止
プロテアーゼ タンパク質を分解
リパーゼ 脂肪を分解
アミラーゼ でんぷんを分解
セルラーゼ 繊維質を分解
レシチン コレステロールを減らす働きにより動脈硬化の予防
サポニン 肥満防止、成人病予防
セレン ガンを防ぐミネラル
フィトエストロゲン 大豆色素成分のフラノボイドの一種で、女性ホルモンに似た性質がある
イソフラビン
ビタミンB群 B1、B2、B6、B12、パントテン酸、ニコチン酸など菜食の人に不足がちなビタミンです
ポリグルタミン酸 粘々の素で、腸管からのカルシウムの吸収を助ける
リノール酸 血液の浄化
ビタミンE 抗酸化力があり、活性酸素を無害化する
アデシン・ウラシル・トリプトファン
カタラーゼ
食物繊維 腸内の老廃物の排泄を助け、大腸がんを予防

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by Kazuo Shiroki
kshiroki@gaia21.net

Created on July 7, 1998
Last revised on October 25, 1998

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