ライオンズ ハイク
The Lions Hike - Binkert (Lions) Trail
by Rex Sato
【目的地はバンクーバー北西のライオンズ】
| 98年の9月の初めに、日帰りで、ハイキングに強い友達の Jason、Jasonの奥さんの Emi、Miyuki、と僕の4人で結構険しい The Lions という名の山を登ぼって来た。 バンクーバーのダウンタウンたから北西の方向に見えるライオンの耳が二つあるような形をしている山である。大変な1日であった。 | ![]() |
「103 Hikes in Southwestern British Columbia」
というハイキング・コース案内の本を参考書にして一周出来るルートが書いてあったのでそれを挑戦することにした。車を止めた場所はスキー場で有名な
Whistler Mountain
に行く時走る99号線を使い、バンクーバーから約30分の所に Lions
Bay
という名の小さな町である。そこからハイキング・コースは始まり、The
Lions までだけの往復距離は15km、上昇は1280mだ。
だが我々は一周するルートを歩いたので後から計算したら、徒歩距離は約25kmで上昇は2000m近く。
【さあ出発】
朝の約7時半に Lions Bay
に到着した。昔の林業道を始め歩いて行く。道は別れる場所がいくつかあるが、The
Lions
行きは石で作られた矢印が道の上に表示してある。小さな滝は現われるし、土砂崩れがあった所などを歩いて行くので風景に色々と変化がある。約1時間歩くと、Harvey
Creek
という名の小川にぶつかった。気をつけて足踏みの岩を選びながら川を渉った。
ここからの上昇は険しくなるので、みんなで休憩をした。ハイキングは度々飲食物を取り、身体を休養させるのは大事なことである。
風景は大きな森林に急に変わった。ハイキング・コースはオレンジ色のテープで木にマークしてあるので、それをたどって行く。
良いハイキング・ブーツは忠告したい。
ジグザグのコースを登ぼって行くと急にオープン・スペースに出た。
そこからは岩の上を歩いて行き、岩にオレンジ色のペンキで塗られているマークをたどって行ったら素晴らしい
西側の The Lions
のふもとに約11時に到着した。大きな岩である。実際にこの岩を登ぼって頂上まで行くことは出来るが岩登ぼりの経験者でない限り、やらないほうが良い。
失敗して亡くなった人が数人いるらしい。
【雄大な景色を見ながらのランチ】
ふもとは山の背になっている。北側は90度の崖になっているので、うつぶせになり顔をはじから出して見下ろすと、目まいがしてくるようなスリル。
南側の景色はキャピラノ湖、そして奥の方にバンクーバーが見えた。
みんなお腹が空いていたので、雄大な景色をエンジョイしながらお昼にした。ここがこのハイキング・コースの頂点であり海抜は1525mだ。僕は小さい時からいつもバンクーバーから見えていたこのかっこ良い山を登ぼってみたいと思っていたので満足感を得た。この日は好天気だったので、他のグループも何組か登ぼって来た。西ライオンズの頂上まで登ぼって行く人を見ているだけでハラハラしてしまった。いつか挑戦してみる。
【運命の分かれ道】
![]() |
帰り道は方法が二つある。同じルートを戻れば結局往復約7時間かかるハイキング・コースである。もうひとつは
西側と東側の The Lions の間を通り抜け、北の方向へ行き一周して
Lions Bay
の町に戻るのだ。本には厳しいルートであるから追加約3時間の時間を見ておいた方が良いと書いてある。我々4人は足に自信があったので一周することにした。
ドラマはこれから始まったのだ。 |
急斜面を下だり西側の耳の底を歩いて行った。
岩にへばりついて通らなければいけない所もあった。そしてまた登ぼり、The
Lions の耳の間に到着。
いままであったそよ風が急に止まりモワッとした湿気のある空気が急に現われ、不気味であった。そこからは北側を降りて行き
Thomas Peak 山
の東側を回った。斜面は急であり、地面は小石が多かったので時々足がすべってしまい、とても歩きにくい。下の方には
人の気配が全然無い綺麗なEnchantment
湖が見えていた。登ぼりはまた始まり、Enchantment
峠を通り抜けこんな所を上がって行くのかと思うような険しいルートをたどって行き、James
Peak 山の頂に着いた。
本の案内によるとこれからはずっと車まで下だり道のように書いてあったので、もう結構疲れている我々にとっては嬉しかった。暑かったので、ハイキングが終わったら冷たいビールを飲みに行こうと話は進んでいた。
【救い人との出会い】
途中で女性二人、男一人、そして犬1匹のグループを追い越した。The
Lions
の北側を歩き始めてから初めて出会った人達だった。その男は棒になっているアンテナとか登山の色々な道具を持っていたので、この州立公園で働いている管理人かなと思った。この人のおかげで後で無事に1日が終わることになったのであった。
James Peak山の背を横断する所にはロープが張ってあったり、それを掴みながら渡れるようになっている。強風の時はこのロープはまさしく必要な所だ。そこからまた北の方向に山を下だった。James
Peak と 次の山の David Peak
山の間は草原になっており、本によるとそこから西へ降りて行く近道ルートがあるはずだ。今日はここを降りて行くことになっていた。細い歩き踏まれた道があったので、ここだなと思いながら美味しいビールが待っていることを思いながらたどって行った。だが途中で道がなくなるではないか。印も何もない。どっかにあるはずだとJason
と僕は一生懸命探した。 でも無い。
木と草が茂ってる急斜面の地形だけであった。ただ西の方向に降りていっても、
途中で崖に出会う可能性も十分ある。
沈黙になった。時計を見たら約3時。あまり時間も無い。
仕様がないから、一応草原の場所に戻った。
【陽は傾き道は遠い】
迷った。いままで通って来た道を戻るとすれば約5時間はかかる。The
Lions
からの歩いて来たルートは本当に険しかったから、そこを戻って行くのかと考えるだけでぞっとした。
ビールの事など頭から吹っ飛んでいった。 The Lions
からは同じルートを使って早く帰っていれば良かった、と頭の中はいっぱい。
実は一周するコースを進めたのは僕であったので、責任感も感じた。
帰り道はもう1つあった。それはもっと北の方向に行き、David Peak
山の東側を降りて行き、Hanging Lake
という名の湖の近くまで降り、またそこから山の北側を登ぼり
Harvey Pass 峠まで行くのであった。本によるとそこにも Lions Bay
まで降りて行けるルートがあるらしい。これもため息がついてしまうようなオップション・コースである。でも怖かったのは、実際に
David Peak
山の反対側でそのルートも見つけることが出来るのだろうかということであった。
一応なんかあった時の為に、僕達は山の中で一晩過ごせる軽い準備はしてあった。いくらデイ・ハイクでも知らない山の中に入る時のその大事さをその時つくづく思った。
【救い人との再会】
その時ふと思い出した。追い越した3人がもしかした後ろから来るかもしれない。あの若い男に聞いてみれば近道ルートを知っているかもしれない。ちょっと待っていたらその3人と犬が降りて来た。
人間に出会うことにあれだけ嬉しいことはあまりないだろう。男は(残念なことに名前は忘れてしまった)管理人ではなかったが、山登り好きでGPS(注1)とアンテナ等の道具を色々と持っていたのである。どこかでキャンプをするようであった。
事情を話たら、この地域には前に一回来たことがあるので近道は見た覚えがあると言ったので、我々のストレス・レベルはやや落ちた。
彼達も同じ方向に行くから一緒に行ってどこだか教えてあげるよ言ってくれた。
でも彼が結局覚えていた場所は近道ではなく、もっと先に行くルートであった。でももうそんな事は関係ない。教えてくれるだけで天からの助けのようなものだ。また急な岩山を結構下だり
David Peak 山の北側を登ぼり始めた。
もう時間との問題にもなって来たし、彼もはっきりその場所を覚えていたのではなかったので、僕と彼と二人で先に行
くことにした。登ぼりは急で大きな岩をはい上がって行かなければいけないような地形だった。きつかった。汗は顔からだらだらたれ、Tーシャツも汗で乾いているとこなど一ヵ所もないくらいだった。彼は重いキャンプ道具を背負っていて片手には大きなアンテナを持っていたのでたいしたもんだと関心した。
【良かった、帰れる】
上にたどり着いたら、昔林業地帯だった所なので、木はなく行きたい西方向の下の方は見えていた。だが背が高い草がぼうぼう茂っていて、降りて行けるルートなどのような道はなかった。
彼は多分もっと上の方だったと言ったので、歩き続けた。
草で隠れて見えなくなってしまっている道を気をつけながら約200m歩いたら、オレンジ色のテ
ープのマークが見えたではないか。降りて行けそうな道のあとがそこになんとなくあった。ほっとした。一晩過ごさなくても家に帰れるのだ。
彼がいなくて僕達だけでこっちに来ていても、もしかしたらこのルートは探せなかったと思う。
見にくい所にあった。彼に握手をして感謝した。本当に運命のような出会いで問題を解決することが出来たのだ。もし出会っていなかったら。。。
と、想像するだけであいまいな気持ちでいっぱいであった。
【女は強し】
そこで二人で一息をしていたら後ろから Jason, Emi, とMiyuki
が登ぼって来た。もう3人とも疲れで凄い顔をしていたが、普通の男でも多分へたばる今日の険しいハイキングをEmi
と Miyuki
は良くここまで出来たと尊敬した。ガイドをしてくれた彼の連れの一人の女性は足があまり強くなかったようで歩くペースが遅かったのでまだ大分後ろに方にいるらしい。彼らがキャンプする場所はここからもうちょっと先に行った
Magnesia Meadows という場所だが、
こんなに厳しいルートだったことは彼も忘れていたそうだ。
そんなに大変ではないことを二人に言ったそうなので、こりゃ、彼女達に叱られるな〜と微笑みながら自分の荷物を降ろし、迎えに同じルートを降りて行った。みんなでまた感謝した。
もう4時は過ぎていたので、僕達はさっそく降りて行った。道は昔の林業道であるが、草はぼうぼうに茂っていて、気をつけてオレンジ色のテープを探して歩いて行かないと変なとこにすぐ入ってしまいそうなルートである。下も石がごろごろころがっているので歩くのにも相当疲れる。途中で黒熊の糞のようなものがあった。今年の夏は良い天気があまりにも長く続いたので、熊が好物な実が高山地帯にあまり出来なかった理由で、めずらしくこの季節に熊は山のふもとに結構降りて来ていたのは確かであった。この疲れている時に熊にはばったり出会いたくなかったので、歌ったりして音を出した。途中でバックパックを背負った青年に出会った。一人でキャンプに行くらしい。凄い度胸だなと関心してしまった。
【朝来た道だ】
約1時間半歩いたら、朝通ったルートとぶつかった。
これで絶対に帰れるなとみんなで喜んだ。
登ぼるのは大変だけれども、下だりも膝にきて結構大変なもんだ。僕はスキーポールのようなハイキング棒を持って来ていたので、一本を
Emi に貸し、もう一本を僕が使った (Miyuki
にも使いたいか聞いたが、いらないとのこと。一応これを書いておかないとね)
ハイキングの下だりは2本のポールを使うだけで、足にかかるショックの約3割りから5割を避けることが出来るそうだ。
滝の下でちょっと休憩をして歩き続けたが、最後の1kmは永遠のように感じた。車に到着したのは約7時。
調度暗くなって来た時なのでまさにぎりぎりだった。
彼に出会ったのは本当に運命だったと4人でまた思案して、冷たいビールを飲みに
North Vancouver に向かった。
大変な1日であったが、まさしく98年のハイライトの思いでになった。
【教訓】
このハイキングを準備するために、僕は3冊の資料を使ったが、この1週するルートを説明してあったのは一冊だけであった。
あまりにもタフなルートで多分普通の人には出来ないから2冊には多分書いていなかったと思う。
書いてあった一冊の 「103 Hikes in Southwestern British Columbia」
は有名な本であるが、書いてある説明だけを当てにして知らない所に初めて行くのは危険だということを良く知った。
P.S. 翌日 Miyuki は Light
House Park にハイキングに行ったそうだ (^^;)。他の3人は数日間の休養。
注1: GPS (Global Positioning System) 複数の静止衛星からの電波を受けて、正確に現在の位置を表示する装置。車のナビゲーションにも使われている。
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