デンマン島アップアンドダウン
デンマン島 夏のキャンプ 1998年8月21〜23日
【デンマン島のキャンプ場】
| ノース バンクーバー在住の白木家の家族、3人プラス1匹はDenman島に初めて行った。これはキャンピングを兼ねて、オーガニックライフサークル(OLC)(注1)の催しに参加するためであった。島唯一のキャンプ場にはテント10張りぶんの場所しかないというので、 8月 21日の金曜日、ウェスト バンクーバーのホースシューベイを朝一番の6時半のフェリーで発ち、9時半にはもうデンマン島のキャンプ場に着いた。 | ![]() |
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キャンプ場の後ろは成熟した森林で、前はどこまでも遠浅の浜が広がっている。浜辺にテントを張った後、流木に腰掛けて日向ぼっこだ。内海の波はこの上なく優しく、ぽかりぽかりと雲の浮く空からは、ちょうど良い日差しが降ってくる。少し火照った体には海からの風が気持ちが良い。
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| デンマン島は、バンクーバー島のNanaimoから、高速道路で 75 kmほど北にあるBuckley Bayからフェリーで 10分ほどのところにあり、バンクーバー島からは交通至便であるが、豊かな自然に恵まれている。その豊かな自然にひかれて住んでいる1200人ほどの住民の中にはアーティストも多い。我々が訪れたある陶芸家の仕事場では「オープン」としているけれど、誰も顔を見せなかった。勝手に作品を見ているうちに、「気に入った作品があったら値札を剥がし、壷に張って下さい。お金は壷の中に入れて下さい。」という小さなサインに気づいた。うれしくなって、ついコーヒーカップを買ってしまった。デンマン島とはそんな島のようだ。 | ![]() |
【手作り味噌蔵の慎明堂】
広い土地で木々に囲まれてひっそりに住んでいる住民の中には日本人も2人いて、一人はOLCの8月号会報でも紹介された手作り味噌の慎明堂のヨシさんこと吉原さんだ。バラバラに島に来た OLCのメンバー達は、森の中のヨシさんの家で、23日の日曜日に落ち合った。22年間この島で暮らし、奥さんと子供さん達を育て上げたヨシさんは気さくな人で、庭で採れたリンゴを切って、我々をもてなしてくれた。
| ヨシさんは写真集を開いて慎明堂の歴史を語ってくれた。初めはバンクーバーで幾つかの仕事をしたけれど、島に住みつくことになったこと、味噌作りをしようと決心したこと、ゼロから出発した当時の試行錯誤と苦労、機械が入るまでの重労働などを淡々と語った。その後はOLCのメンバー達、大人子供総勢20人を引き連れて、味噌蔵の見学だ。味噌蔵には原料が積み上げられ、大きな蒸し器や、日本から輸入した専用のミキサー、すりつぶし機などが並ぶ。中でも圧巻は、ずらりと並ぶ、味噌を寝かしておく大ダルだ。仕込まれた原料は 1年半じっくりと熟成され、おいしい味噌になる。ひんやりとした味噌蔵の中は、味噌のかぐわしい匂いで一杯だ。 | ![]() |
この後、OLCのメンバー達は、味噌と、重しをかけた味噌ダルから沁み出る「溜り」を分けて頂いた。さっぱりとした自然のおいしさは、味噌汁にも、納豆にも、豆腐のステーキにも、生野菜につけても良く合うので、帰ってから一週間というもの、この味噌と溜まりで、ほとんどなんでも味付けをした。
【コミュニティ フォレスト】
島のもう一人の日本人住民にマツキ(増谷松樹)さんがいる。島の中央に暮らすマツキさんの敷地には、キャンプ場にあぶれた後発組がテントを張らせてもらった。
マツキさんはデンマン島を破壊的な伐採と開発から守ろう、というDenman Community Forest Cooperative の活動メンバーだ。デンマン島は、長さ26 km、幅7 kmほどの緑の森林に覆われたなだらかな小島だ。伐採がしやすいこと、海上輸送の便が良く、消費地に近いことから、BC州の林業の勃興とともに森林が切られたが、一世紀ほどたった今、見事に回復して、自然は豊かだ。このコープの目的は、島の3分の1にあたる土地を買い取った会社が、再び森林を切り払い、丸裸になった土地を別荘地として売り払うのを阻止して、持続可能な森林資源の利用を目指す、住民参加のコミュニティフォレストを実現することだ。
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島に永いこと住み着いている住民は、豊かな自然にひかれて住んでいる人が多い。コミュニティフォレストの話は、日本でも何度も個展を開き、名前の知られている陶芸家Gordon B. Hutchensさんご夫婦からも伺った。彼らの敷地の近くで伐採が始まっているのだ。デンマン島でのキャンプの経験が素晴らしかっただけに、自然破壊の現状を思うと胸が痛んだ。 世界的に見ると、森林の半分が既に失われ、樹木の種類の10パーセントが絶滅の危機に瀕しているという。実際に木を切り倒す dirty job をしている人々を非難するのはやさしい。しかし、木の家に住み、紙を多用する生活をしている我々はいったい何をすべきだろうか。 |
この文は、バンクーバーの有機農業支援会オーガニック・ライフ・サークルの会報Organic Life Circle November 1998, No. 14に掲載されたものを、多少手直ししています。
注1: 有機野菜の配布のグループから発展したオーガニック・ライフ・サークルはバンクーバーで2年目を迎え、毎月のミーティング、農場での催しなど活発な活動をしています。
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by Kazuo Shiroki |
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